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ワーキングホリデーや学生ビザで滞在中の方から、「そろそろビザが切れるが、もう少しオーストラリアに残りたい」というご相談を、期限の直前にいただくことがとても多くあります。

学生ビザ(Subclass 500)は、正しく理解して計画的に準備すれば、留学の延長にも、就労やワーキングホリデーからの切り替えにも使える非常に柔軟なビザです。

一方で、コースの選び方・残高証明・OSHC(学生保険)・GS要件(Genuine Student、旧GTE)など、押さえるべきポイントを一つでも外すと、却下や大幅な遅延につながります。ここでは学生ビザの仕組みを、実務で相談を受ける立場から一つずつ丁寧に解説します。

学生ビザとは何か(Subclass 500の全体像)

学生ビザ(Subclass 500)は、オーストラリア政府に登録された教育機関(CRICOS登録校)のフルタイムコースに在籍することを条件に発給される滞在ビザです。

対象となるコースは幅広く、次のようなものが含まれます。

  • 語学学校(ELICOS)
  • 専門学校(VET/TAFE)
  • 大学・大学院

ビザ期間は受講するコースの長さに応じて一度に最長5年間まで認められ、家族(配偶者や子ども)を帯同できる場合もあります。

ワーホリから学生ビザへ切り替えて滞在を延長するオーストラリア・メルボルンの街並み

どのビザから学生ビザに切り替えられるのか

学生ビザは、日本から新規に申請するだけでなく、すでにオーストラリアに滞在している方が現地(オンショア)で申請できる点が大きな魅力です。ただし「いまどのビザを持っているか」によって、国内で切り替えられるかどうかが変わります。

現在のビザ可否ポイント
ワーホリ(417/462)王道ルート。セカンドとの比較が分かれ目
学生ビザ(500)語学→専門→大学へのステップアップ
卒業生ビザ(485)×2024年7月以降、国内申請の対象外
観光ビザ(600/601/651)×8503が付くとさらに延長できない
トレーニング(407)などビザに付いた条件により判断が分かれる
ブリッジングビザ×審査待ちの一時ビザからは申請できない

○=国内から申請できる/△=ビザ条件により要確認/×=原則できない

つまり、「いったん観光ビザでつないで、その間に学生ビザを取る」という以前よく使われた方法は、現在は通用しません

ワーキングホリデーの期限が近い方は、今のビザが有効なうちに動けるかどうかで結果が大きく変わります。

※ビザ制度は予告なく変更されます。ご自身のケースで切り替えが可能かどうかは、登録移民代理人にご確認ください。

ワーホリからの延長は「セカンド・ワーホリ」か「学生ビザ」の二択

ワーキングホリデーで滞在中の方が国内で滞在を伸ばす手段は、実質この2つに絞られます。どちらが向いているかは、セカンドの条件を満たしているか、これから満たす気があるかで決まります。

比較項目セカンド・ワーホリ学生ビザ(500)
条件指定地域・職種で88日就労登録校でフルタイム就学
年齢原則30歳まで制限なし
延ばせる期間1年(サードで+1年)数ヶ月〜最長5年
就労制限なし2週48時間まで(休暇中は無制限)
就学最長4ヶ月コースの全期間
向いている人規定就労に抵抗がない/費用最優先年齢超過/都市部希望/資格重視

年齢的にセカンドが取れない方、規定就労のために地方へ移る時間が惜しい方、そして「せっかく残るなら形に残る資格を取りたい」という方には、学生ビザのほうが納得度の高い選択になりやすいです。セカンドを使い切ってから学生ビザへ進むという組み合わせも、実際には多いパターンです。

就労ルール(2週48時間ルール)

学生ビザの大きな特徴は「就学が主目的である限り、就労も認められる」点です。就労できる時間には次のルールがあります。

  • 学期中:2週間で合計48時間以内
  • 休暇中:無制限

この「2週48時間ルール」は、1日ごとの勤務時間ではなく2週間の合計で判断されます。勤務先が複数ある場合は、すべてを合算して管理する必要があります。

就労時間の超過は最も多いビザ違反の一つで、ビザキャンセルの対象になり得るため、十分に注意してください。

申請費用(コース区分ごとの目安)

学生ビザの申請費用(Visa Application Charge)は、受講するコースの区分によって異なります。2026年時点の本人分の目安は次のとおりです。

コース区分申請費用(本人分)
語学学校(ELICOS)のみ約 $2,050
専門学校(VET/TAFE)約 $2,500
大学・大学院約 $2,500

さらに、オーストラリア国内からの2回目以降の申請(オンショア申請)には、追加でおよそ $700 のSubsequent Temporary Application Chargeが発生します。

たとえば国内で2回目の延長をする場合の合計イメージは次のとおりです。

ケース費用の合計イメージ
専門学校・大学(初回・国外申請)約 $2,500
専門学校・大学(国内での2回目)約 $3,200($2,500 + $700)

※金額は本人分の目安です。家族を帯同する場合は追加費用がかかります。最新の正確な金額は必ず内務省(Department of Home Affairs)の公式サイトでご確認ください。

OSHC(学生保険)の注意点

OSHC(Overseas Student Health Cover/学生保険)への加入は、学生ビザの必須条件です。

特に重要なのは、OSHCの契約期間がCOE(在籍証明)でカバーされる期間をきちんと満たしていることです。

OSHCの期間が足りないと、次のような問題が起きます。

  • 想定していたビザ期間より短くしか発給されない
  • 申請そのものが滞る原因になる

コースの開始日・終了日と、OSHCの開始日・終了日は、必ず突き合わせて確認しましょう。

学生ビザの申請費用・学費・OSHC・生活費を計算するイメージ

学費・OSHC・生活費を含めた費用の全体像

ビザ申請費用だけを見て判断すると、あとで資金計画が崩れます。切り替え後の滞在に必要なのは、ビザ申請費用・学費・OSHC・生活費の4つです。

専門学校(VET)の学費は分野と学校で幅がありますが、同じ期間を語学学校で過ごすより総額を抑えやすいのが実情です。おおよその目安は次のとおりです。

分野期間学費の目安(年間)
ビジネス系半年〜1年約$6,000〜8,000
ホスピタリティ・クッカリー1〜2年約$9,000〜12,000
IT1〜2年約$9,000〜12,000
デザイン半年〜1年約$9,000〜12,000

見落とされがちなのがターム(学期)ごとの分割払いです。専門コースは3〜6ヶ月を1タームとして区切るため、入学時に全額を用意する必要はなく、各タームの開始前に納めていく形が一般的です。

「まとまった資金がないから学生ビザは無理」と諦めていた方でも、キャッシュフロー上は成立するケースが少なくありません。

このほか、OSHCは月$40〜60程度、生活費はシェアハウス前提で月$1,200〜2,000程度(都市と部屋タイプで大きく変動)を見込んでおくと現実的です。ビザ申請時の残高証明とは別に、「毎月いくら出ていくか」を先に把握しておくことをおすすめします。

ビザ期間の考え方(いつまで滞在できるか)

学生ビザの有効期間は「申し込むコースの長さ」で決まります。対象となるのは最低3ヶ月以上のコースで、上限は5年間です。

コース終了後に与えられる猶予期間の目安は、次のとおりです。

コースの長さビザの終了目安
10ヶ月未満コース終了日 + 1ヶ月
10ヶ月以上コース終了日 + 2ヶ月
10ヶ月以上で終了日が11〜12月翌年3月15日まで延びることがある

つまり、コースの組み方しだいで「滞在できる期間」は大きく変わります。

長く残りたい場合は、一つの長いコースを取るのか、語学+専門などをパッケージで組むのかによって、費用も期間も戦略が変わります。目的(就労経験を積みたい/永住を視野に入れたい/とにかく滞在を延ばしたい)に合わせて設計するのが、失敗しないコツです。

ワーホリから学生ビザへの切り替え時期をカレンダーで逆算するイメージ

ワーホリから切り替えるなら、いつ動き出すべきか

ご相談で最も多い失敗が、動き出しの遅れです。目安はビザ失効の3〜4ヶ月前です。

  • 4ヶ月前:目的・予算・希望する滞在期間を整理し、方向性を決める
  • 3ヶ月前:学校とコースを確定し、必要なら英語のレベルチェックを受ける
  • 2ヶ月前:出願してオファーレターにサイン、学費を納めてCOEを取得
  • 1ヶ月前:OSHCに加入し、GS要件の理由書を仕上げて申請

専門学校の入学日は毎月とは限らず、学校によっては数ヶ月に1回です。入学日と現ビザの期限が噛み合うかが最初の関門で、ここが合わないと一時帰国が必要になり、時間も費用も余計にかかります。

もう一つ知っておいていただきたいのが、今のビザが有効なうちに申請すればブリッジングビザ(BVA)が発給され、審査を待つ間も合法的に滞在できることです。

逆に1日でも期限を過ぎればオーバーステイとなり、その後の申請に大きな不利益が生じます。BVAで働けるかどうかは付与される条件によって異なるため、発給後はVEVOでご自身の就労条件を必ず確認してください。

学生ビザがすぐに発給されたときの就労制限に注意

もう一つ、実務でよくある落とし穴があります。ワーホリの期限がまだ残っているのに、ブリッジングビザを経由せず学生ビザがそのまま発給されてしまうケースです。審査が早いと、申請から数日で結果が出ることもあります。

学生ビザが発給された時点で、それまでのワーキングホリデービザは終了し、適用される条件は学生ビザのものに切り替わります。そして学生ビザで就労が認められるのは、コースが開始してからです。つまり入学日までに数週間の空きがあると、その期間は働けません。

ワーホリの感覚でフルタイムのシフトを入れていると、収入が止まるだけでは済まず、知らないうちに就労条件違反となってビザキャンセルのリスクを負うことにもなります。

対策はシンプルです。申請の時期と入学日を近づけて設計すること、そして無収入になる期間を想定して生活費を確保しておくことです。「早く申請すれば安心」とは言い切れないのが学生ビザの難しさなので、入学日と申請時期はセットで組み立ててください。

手続きの流れ(相談からビザ申請まで)

① 留学エージェントへ相談
目的・予算・希望時期をヒアリングし、大まかな進路の方向性を決めます。無理のない全体プランを描くことが成功の第一歩です。

② 学校見学・担当者との面談
候補校を実際に見て、雰囲気やサポート体制、卒業生の進路などを確認します。オンライン面談で対応できる学校も増えています。

③ コースと学校の決定
語学・専門・大学など、目的に合ったコースと学校を最終決定します。将来の進学や就労、永住まで見据えて選ぶのがポイントです。

④ 学校への申し込み
願書やパスポート、これまでの学歴・英語力を示す書類などを揃えて出願します。

⑤ オファーレターへのサインと支払い
学校から届く入学許可(オファーレター)の内容を確認し、署名と学費の支払いを行うと、正式な入学が確定します。

⑥ ビザ申請書類の準備(最重要)
GS要件(Genuine Student)を満たす理由書づくりが審査の核心です。「なぜそのコースか」「学歴・職歴との整合性」「卒業後の計画」を一貫したストーリーで示します。

⑦ 学生ビザの申請
必要書類とともにオンラインで申請します。専門学校・大学へ進む場合は、英語力要件(IELTS等)や入学テストが加わることがあります。

特に重要なのが⑥の書類準備です。ここが弱いと、書類が揃っていても却下されるケースがあります。理由書(Statement)の作り込みは、経験のある担当者と一緒に進めることを強くおすすめします。

残高証明・英語力の目安

残高証明(Financial Capacity)の目安は、次の合計です。

  • 1年分の生活費(およそ $29,710)
  • 1年分の学費
  • 渡航費(国外申請で約 $2,000/国内申請で約 $1,000)

たとえば学費が年 $12,000 で国内申請の場合、合計でおよそ $42,710(為替により約480万円前後) が一つの目安になります。

金額だけでなく、資金の出所や保有期間を問われることもあります。直前に一括で用意するよりも、余裕をもって準備しておくほうが安全です。

英語力については、専門学校へ進む場合は IELTS 6.0程度 が目安です。基準に届かない場合は、語学学校をパッケージで組む方法があります(例:IELTS 5.0で20週、5.5で10週など、学校により条件は異なります)。

「今の英語力で何が狙えるか」は人によって大きく異なるため、現時点のスコアをもとに逆算して計画を立てるのが現実的です。

オーストラリアの専門学校でクッカリー(調理)を学ぶ学生

語学学校・専門学校・TAFE・大学、どれを選ぶべきか

とにかく長く、費用を抑えて滞在したい方は、専門学校(VET)が第一候補です。1コース半年〜1年以上が標準で、Certificate IIIからDiploma、Advanced Diplomaへと積み上げれば、数年単位の滞在につなげることも可能です。

週2日程度の通学で修了できるコースも多く、仕事との両立がしやすい点も現実的なメリットです。

英語力を上げること自体が目的なら語学学校(ELICOS)ですが、同じ滞在期間なら学費は割高になります。公的な位置づけと設備を重視するなら州立のTAFE学位や研究、専門職としての登録が前提になる分野なら大学・大学院が選択肢に入ります。TAFEは必ずしも学費が安いわけではなく、職業分野の幅広さと教育水準の高さが選ばれる理由です。

ここで誤解されやすいのが永住との関係です。永住を目指せるのは大学・大学院だけではありません。実際に、私立の専門学校でクッカリー(調理)やホスピタリティ、コミュニティサービス、自動車整備といった資格を取り、現地での就労経験を積みながら永住を目指す方は多くいらっしゃいます。

技術職・技能職は需要が根強く、専門学校ルートのほうが現実的というケースも珍しくありません。

ただし、どの資格が有利かは、その時点の職業リストや州の指名要件、年齢・英語力・職歴の組み合わせで変わるため、「この分野なら確実」と言い切れるものはありません。

だからこそ大切なのは、「将来どんな仕事をしていきたいか」から逆算してコースを決めることです。Time Studyでは登録移民代理人が最新の制度を踏まえ、永住まで視野に入れるならどのコースから始めるのが得策か、就労経験の積み方まで含めてお一人ずつ一緒に組み立てます。まだ方向性が固まっていない段階でも、そこから整理していけますのでご相談ください。

専門学校(VET)の入学に必要なもの

  • 最終学歴(高校・大学)の卒業証明書と成績証明書
  • パスポート
  • 英語力の証明(IELTS 6.0程度が目安。コースや学校によって求められる水準は異なります)
  • 学費の初回(1ターム分)のお支払い

証明書の発行には数週間かかることがあるため、動き出しと同時に母校へ請求しておくと安全です。

スコアをお持ちでない場合も道は閉ざされません。語学学校の修了レベルで代替できる場合、学校独自のレベルチェックテストで判定される場合、そして基準に届かないなら語学+専門のパッケージを組んで進学する方法があります。

よくある質問

Q. ビザの有効期限が間近でも間に合いますか?

書類が揃っていれば、残り1週間ほどでも学校決定・申し込み・ビザ申請代行まで対応できたケースがあります。ただし、学校見学やコース比較にじっくり時間をかけたい場合は、期限の2〜3ヶ月前のご相談が理想です。

Q. 何を勉強したいかまだ決まっていません。

まったく問題ありません。滞在の目的やご予算、将来の希望をうかがいながら、目的に合ったコースを一緒に整理するところから始められます。むしろ方向性が固まる前の段階でご相談いただくほうが、無理のないプランを作りやすいです。

Q. 審査にはどのくらいかかりますか?

国内・国外申請や学校の種類によって差があり、通常は自動〜数ヶ月です。近年は審査の厳格化で、国内延長が半年以上かかるケースもあります。「早めに、書類を万全にして出す」ことが、結果的にいちばんの近道です。

Q. ワーホリの残りが1ヶ月しかありません。まだ間に合いますか?

今のビザが有効なうちに申請できれば、ブリッジングビザで滞在を継続しながら審査を待てるため、可能性は十分あります。ただし入学日の確認と書類準備を同時進行で進める必要があるので、その日のうちにご相談ください。

Q. セカンド・ワーホリと学生ビザ、どちらが得ですか?

費用だけならセカンドですが、地方での88日就労が前提です。年齢制限を超えている、都市部に残りたい、資格を取りたい、のいずれかが当てはまるなら学生ビザのほうが現実的です。

Q. 観光ビザに切り替えてから学生ビザを申請できますか?

現在は観光ビザから国内で学生ビザを申請することが原則できません。8503(No Further Stay)が付いていればさらに厳しくなります。今のビザが有効なうちに申請することを強くおすすめします。

Q. 学生ビザで家族を帯同できますか?

コースの種類や条件によって認められる場合があります。学費・生活費の証明額も家族分が加算されるため、早い段階で試算しておく必要があります。

ビザ違反にならないための注意点

学生ビザで最もトラブルになりやすいのは、次の3点です。

  • 就労時間の超過(2週48時間ルール)
  • 出席率・成績の不足
  • OSHCの未更新

特に就労時間は、複数のアルバイトを合算して管理する必要があります。給与明細やシフト記録を残しておくと安心です。

ルール違反はビザキャンセルや今後の申請への悪影響につながるため、「知らなかった」では済まされません。少しでも不安があれば、早めに専門家に確認してください。

加えて、ワーホリなどから切り替える方に特有の落とし穴が3つあります。

  • 進路の一貫性:現在より下位の資格に戻る、これまでの学歴・職歴と接点のない分野を選ぶといった計画は、GS要件で厳しく見られます。
  • 最初の6ヶ月は転校できない:主要コースの開始から6ヶ月間は、原則として学校を変更できません。「安い学校に入って後で移る」という前提は成り立ちません。
  • コースの進捗(Course Progress):出席率だけでなく、科目の合否や修了ペースも滞在の条件になります。

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